らしい、話。
会社で来々軒の話をした。普通の味らしい。らしいというのも、僕は来々軒に行ったことがない。家の近くに来々軒は“普通”にある。だが行ったことはない。その人によると来々軒は普通の味を提供することを選んでいるらしい。
また別の話で、その人がテレビで350万円のハサミを作る職人を見たらしい。350万円のハサミはその職人しか作れないらしい。ただ、さすがに普通のハサミとは全く別物らしい。らしいというのも、僕はそのテレビを見ていない。だが、そのハサミは日本でただ一人しか作れないらしい。
このハサミは普通ではなく特別だ。特別だと特別扱いされる。ただ、買える人と買えない人が出てくる。このハサミは人を選ぶのだ。人もハサミを選ぶのだ。
その点、来々軒のラーメンは人を選ばない。人もラーメンを選ばない。なぜなら、普通だからだ。普通であるか、特別であるか。どちらを選ぶかはあなたが決められる。
さて、あなた“らしい”のはどっちだろうか?