ワンランク上の勇気づけ2
アドラー心理学では「勇気づけ」をして、子どもを育てていきます。勇気づけと言うのは、一概にこういうものだ!ということはできず、時と場合によって、いろんな手法があります。
ただ、手法というのは、眉唾的なもので、絶対的なものではありません。育児に関して、子どもが一発で言うことをきく「魔法の言葉」は存在しないと思っています。
【今日の目次】
そういえば、何年か前に、僕が尊敬するアドラー心理学のパイオニア野田俊作先生の講演を拝聴しに行った時のことです。ちなみに、先生の講演を拝聴するのはその時が初めてでした。
講演の演目は「子育ての秘訣」でした。
僕はこの講演をすこぶる楽しみにしており
「うわぁ、子育てで、どんな秘訣があるのか楽しみだなぁ!」
と心躍らせていました。
そして、いざ、講演が始まって、野田先生が開口一番、こうおっしゃったのを覚えています。
「子育てに秘訣はありません。」
僕は度肝を抜かれました。ただ、講演を最後まで聞き終わると、その意味が分かりました。
子育てには技術よりも大切なものがある。ということを学んだ気がしました。
ただ、それを身をもって体験して、自分のものにしていくのには修行が必要です。僕はまだまだ修行の身ですが、子育てに関して何か気づきがあれば、このブログを通してシェアしていければ、いいなぁと感じているのです。
あるアドラー心理学の本でこんなことが書かれていました。
アドラー心理学は劇薬だ。
劇薬と言うのは、一度に現状を変えるには大変意味があると思います。
ただ、ぼくのブログはというと、毒にも薬にもならない内容です。ですが、これを読んでいただける方に対して、少しでも何かお役に立ちたいという思いから、気づいたことはシェアしようという気持ちは常に持っております。
劇薬にはなれなくても、ビタミン剤になれればいいかなぁって感じですね。
前置きが長くなりました。(前置きやったんかいッ!)
☆お父ちゃんはケンカのお手伝いはできません☆
この勇気づけがワンランク上かどうかわかりませんが、つい先日我が家で起こった出来事を書いてみたいと思います。
それはこんな状況。
登場人物:僕、息子(5歳)、娘(3歳)
エピソード箇条書き
1、僕が娘と絵本を読んでいた。
2、そこへ息子がやってきた。
3、すると娘が「お兄ちゃん来ないでッ!読まないで」と言った。
4、息子は絵本を取り上げた。
5、娘は「返して!返して!」と泣き出した。
6、息子はそんな娘を押し蹴った。娘は後ろ向きに倒れた。
7、そして息子も泣いた。
ちなみにこの時の僕の感情は±0です。怒ってもいないし、喜んでもいません。
ただ、この状況から何を学んでもらおうかな?と考えていました。だから、口出しもしていないし、状況をただただ、見ていました。
そして、僕は泣いている子どもたちに向かってこう言いました。
「お父ちゃんは、ケンカのお手伝いはできません。絵本を読んでケンカするならもう読みません。」
ちなみに、これもマイナス感情はありませんでした。
☆あなたに何ができますか?☆
そして、別の部屋にいって、「アベマTVで将棋」を見ようとしました。羽生さんの対局がありましたからね。
すると最初にやってきたのは3歳の娘。娘はべそをかきながら僕にこう言いました。
娘「お兄ちゃんが絵本取った。」
その通り。見ていましたからね。それで僕はこう質問してみました。
僕「そうだね。でもその前にあなたはお兄ちゃんになんて言ったの?」
娘「来ないでって言った。」
僕「そうだね。いきなりそういわれたらお兄ちゃんも怒ると思うよ。ところで、あなたは、どうしたかったの?」
娘「一人で見たかった。(泣きながら)」
僕「そういう時あるのは分かるよ。じゃあ、どう言えばよかったかな?」
娘「・・・・」
僕「お父ちゃんだったら、例えば、ワタシが先に読んでもらってからでもいい?とかいうなぁ。」
娘「・・・・」
僕「それだったらケンカしなくてもよかったんじゃない?」
娘「うん」
僕「あなたはお兄ちゃんとケンカしたいの?」
娘「したくない。」
僕「じゃあ、次からは仲良く絵本を見れますか?」
娘「うん」
そのやり取りに聞き耳を立てていた息子。次は息子が僕の近くにやってきました。ちなみに、娘は別の部屋に行きました。
息子「絶対許さん!」
僕「そうか、じゃあこのままずっと怒って生きるの?」
息子「だって、○○(娘の名前)が・・・・」
僕「“だって”とか、“○○が”って言っているうちは何も解決しないと思うよ。」
息子「・・・・」
僕「そうじゃなくて、□□(息子の名前)は何がしたかったの?」
息子「絵本を読みたかった。」
僕「それでどうしたの?」
息子「絵本を取って、○○(娘の名前)を蹴った。」
僕「そうだね。あなたは○○(娘の名前)とケンカしたかったの?」
息子「ちがう。」
僕「そうか。もうやってしまったことは仕方ないと思う。じゃあ、次からは仲良くできる?」
息子「うん。」
僕「そしたら、○○(娘の名前)にごめんねって言える?」
息子「○○(娘の名前)が謝ってくるのを待つ。」
僕「そうか、分かった。」
そして息子は別の部屋に行きました。
☆勇気づけポイント発見!☆
こうして二人とも別の部屋に行きました。僕も、やっと将棋が見れると思いパソコンに向かいました。
ちなみに、僕がいるところから、子どもたちの姿が見えるのでした。
何をしているのかなぁ~と、気づかれないように、観察していると、何やら息子が娘にお話をしている様子。しかし、何を話しているかはわかりませんでした。
まぁ、何を話していても関係ないんですけどね(笑)
それよりも、羽生さんの対局が気になっていました。
時間にして5分ぐらいでしょうか。息子が僕のところにやってきました。何やらすごくうれしそうな表情です。
そして僕にこう言いました。
「仲直りできた。」
僕はとてもうれしかったのです♪
さっそく、僕と息子は娘のいる部屋に行きました。
そして、息子は僕にこう言いました。
「ごめんなさいって言えた。」
このとき、息子と娘、二人の顔を見ると、満面の笑みを浮かべています。
僕は息子に言いました。
「ごめんなさいって言えたんだね!自分が先に謝るの嫌だったでしょう?だけど、“勇気をもって”謝れたんだね!」
僕はこう続けました。
「それはねぇ、すごく勇気がいる行動なんだよ。そういうのを勇気があるっていうんだよ!何もケンカが強いのが勇気じゃない。」
そして僕は笑顔でこちらを見ている二人にこう言いました。
「お父ちゃんは、□□(息子の名前)と○○(娘の名前)が仲良くいてくれるてすごく嬉しい!また絵本読んであげるね~♪」
☆ワンランク上の勇気づけ☆
昨日、「ワンランク上の勇気づけ」という記事を書きました。
family-base-camp.hatenablog.jp
そこで紹介したうちの一つがこちらです。
「自分がしたくなくても、みんなにとって良いことなどで、その行動をした」
今回の息子の行動は、これに当てはまっていると思うのです。息子自身も言っていましたが、自分から謝るのは嫌なのです。これは、思い当たる節がある人も多いのではないでしょうか?そんななか、息子は“勇気を出して”自分から謝ることができたのです。
そして忘れてはいけないのが、娘もそれを受け入れて、息子と仲良くやっていく道を選択してくれたのです。
僕たちは、親子であり、仲間です。
現在、いつミサイルが飛んでくるかわからない状況にあります。
もしかすると、本当に、明日は最後の日を迎えるかもしれません。
ただ、もし仮にそうだとしても、
僕たちは、最後の最後の瞬間まで
家族としてあり続けたいと思うのでした。
ーおしまいー